漆喰と珪藻土の違いとは?特徴や価格相場、向いている場所を解説
一見同じような塗り壁(ぬりかべ)の漆喰(しっくい)と珪藻土ですが、「違いは何?」「実際に塗るならどっちがいいの?」という人は多いのではないでしょうか。
今回の記事では、漆喰と珪藻土のそれぞれの特徴を比較し、詳しく解説していきます。
漆喰と珪藻土、それぞれの特徴を比較
漆喰と珪藻土について、簡単にまとめてみました。
まず、漆喰と珪藻土の根本的な違いは原料にあります。
漆喰は石灰石や貝殻を粉状にしたものがメインの原料で、そこにワラやスサを混ぜ海藻などから取り出した糊を加えて作られています。(漆喰=石灰+ワラやスサ+海藻による糊)
一方、珪藻土は海や湖に長年蓄積した植物プランクトンの死骸でできた土のようなもので、珪藻土単体には乾燥すると固まるという性質はありません。(珪藻土=珪藻+固化材)
そのため、珪藻土は合成樹脂やセメントを添加して塗り壁材として使えるように調合されています。
原料以外の特徴を次の項目で詳しく解説していきます。
漆喰の見た目と特徴
質感や見た目は好みにもよりますが、漆喰は珪藻土に比べてツルっとした質感でボロボロと落ちていくことはありません。
これは「空気に触れると耐久力が上がる」という漆喰の性質に特徴があるからです。
漆喰は昔から城壁などに使われており、とても丈夫で長持ちする材料です。
外壁にも使用できる漆喰に比べて、珪藻土は耐久性が低く水にも弱いため外壁材として使うことは出来ません。
また、漆喰の原料である石灰は強アルカリ性です。
そのため抗菌性に優れカビやダニの繁殖も防ぐ効果があります。
この抗菌効果は臭いの元となる細菌も無効化してくれるので消臭効果も期待できます。
他にも漆喰には「ホルムアルデヒド」という有毒物質を吸着・分解する働きがあります。
シックハウス症候群という言葉を聞いたことありますか?
シックハウス症候群とは、ホルムアルデヒドを体内に取り込むことで発症するアレルギーの一種です。
漆喰はこの有害物質を吸着・分解してくれるため、抵抗力の強くないお子様やペットを飼っている人には特におすすめです。
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珪藻土の見た目と特徴
珪藻土の質感は漆喰と比べてザラザラしているところが特徴です。
冒頭でも解説した通り、珪藻土には「自ら固まる」という性質がなく、ボロボロとした土砂のようになってしまうことがあります。
また、珪藻土は臭いを吸収する性質があります。
臭いの成分は水溶性の分子に付着します。珪藻土が臭いの付着した水蒸気(湿気)を吸収してくれるため、消臭効果があります。
逆に珪藻土が湿度を放出するときは臭いも一緒に出してしまうのでは?と思うかもしれませんが、放出する速度は非常にゆっくりとしたスピードのため、人間の鼻では臭いを感じ取ることができません。
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漆喰と珪藻土に共通する特徴
漆喰と珪藻土に共通する特徴は調湿効果です。
どちらも梅雨時期などの湿度が高いときは余分な水分を吸い取り、逆に冬などの乾燥する時期には水分を放出します。
湿度をコントロールしてくれることで結露を防止し、心地良い室内環境をつくることができます。
漆喰と珪藻土にはどちらも調湿効果がありますが、漆喰より珪藻土のほうが、効果が高いと言われています。
調湿効果だけを見れば珪藻土のほうが上回っていますが、漆喰には「防カビ性」「抗菌性」「耐久性」など珪藻土にはない特徴も持ち合わせています。
総合的に見て、調湿性以外の機能も求めるのであれば漆喰が良いかもしれませんね。
漆喰と珪藻土の価格相場を比較
次に漆喰と珪藻土の価格相場について解説していきます。
漆喰の価格相場
漆喰と珪藻土では価格に大きな差はありません。
塗り壁は作業工程が多く、ビニールクロスと比べると約3~5倍の費用がかかるため、一般的には高価な素材と言われています。
初期費用こそかかる塗り壁ですが、機能性やメンテナンス性を考えると、価値がある素材です。
アットホームラボでは母体が建材屋(材料をメーカー直販体制)であることを活かして、漆喰を標準仕様としてラインナップ(2021年8月現在)しています。
自然素材が気になっている方は新築時に漆喰を使用することをおすすめします。
珪藻土の価格相場
漆喰と珪藻土の価格は大きくは変わりませんが、実は珪藻土は材料の違いによって価格差があります。
冒頭でも解説した通り、自ら固まる漆喰に比べて珪藻土は固まる性質がありません。
そのため、珪藻土の場合は珪藻土と固化材の含有量とその種類によって価格が変わってきます。
珪藻土の比率が下がるほど自然素材以外の材料が添加されることになり、調湿性などの機能が下がってしまう場合があります。
商品によって珪藻土の含有率が20~80%と幅広いため、選ぶ際には注意すると良いかもしれません。
「固化材に何を使っているのか」「珪藻土の含有量は適正か」の2点を必ず確認するようにしましょう。
漆喰と珪藻土が向いている場所
次に漆喰と珪藻土を塗るのに向いている場所を解説していきます。
漆喰が向いている場所
玄関
漆喰には消臭・抗菌作用があります。
玄関ホールやシューズクロークに漆喰を使用することで独特の玄関臭を消してキレイな空間にしてくれます。
寝室
夜寝るときに「ジメジメして寝苦しい」といった経験がある人も多いのではないでしょうか?
部屋の湿度を適切に調整してくれるため、質の良い睡眠を手に入れることができます。
また、漆喰の抗菌効果がカビやダニの繁殖を防いでくれるので清潔な空間を保つことができます。
リビング
漆喰はシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなどの有害物質を分解する作用があります。
特に、家族が集まって長い時間を過ごすリビングは安心に過ごすためにも漆喰を使うことをおすすめします。
珪藻土が向いている場所
洗面室・脱衣室
浴室からの湿気がこもりがちな洗面・脱衣室ですが、珪藻土の調湿機能でジメジメしない空間をつくることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は漆喰と珪藻土の違いについてまとめてみました。
一見似ているような塗り壁材ですが、表にまとめてみると意外と違いがあることが分かります。
どちらも調湿効果に優れていますが、「抗菌性」「防カビ性」「耐久性」など漆喰にしかない効果もあります。
後悔しない家づくりをするには、自分の目的に合わせて最適な方を選択できると良いですね。
この記事の監修
アットホームラボ代表 青木真大(あおきまさひろ)
二級建築士、二級建築施工管理技士
2006年建築デザイン学部を卒業後、東京と新潟の建築事務所にてデザイン実務を経て、株式会社アオキ住建へ入社。 建築業界で15年間の設計、現場監督経験を経て、住宅事業部の責任者として1,500件以上の新築及び大規模リノベーションに関わる。
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