平屋を新築で建てる際の費用は?費用の抑え方や注意点などを解説
コンパクトで住みやすく、バリアフリーなどにも適していることから、近年では新築で平屋を建てる方が増えています。平屋は、おしゃれな間取りやデザインも増えており、年配の方々だけでなく若年層からも人気です。
しかし、新築を平屋で建てると費用がかかるという話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、平屋を新築で建てる際の費用について土地の広さや予算別に解説するとともに、費用を抑えるための工夫や注意点などにも触れていきます。
新築平屋のメリット
新築平屋のメリットは以下の3つが挙げられます。
- バリアフリー設計がしやすい
- 間取りが自由に調整しやすい
- 自然災害に強い
メリット①:バリアフリー設計がしやすい
平屋は段差の少ない設計が可能で高齢者や障がい者の方の生活動線を考えやすくなります。
また階段がないため、車いすやベビーカーなどでの移動がスムーズです。
さらに居室と水まわりの間取りを工夫すれば手すりの設置や幅広い廊下など、バリアフリー化を比較的簡単に実現できます。
平屋はユニバーサルデザインの観点から生活のしやすさを高められる住宅といえるでしょう。
平屋のバリアフリー設計に関するメリットについては以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
【関連記事】平屋とは?メリット・デメリット、施工事例を紹介します
メリット②:間取りが自由に調整しやすい
平屋は2階建てと比べて柱や壁の配置に制約がないため、住み手のニーズに合わせて自由に間取りを設計できます。
また伝統的な日本家屋の平屋ならばふすまや障子を用いた可動式の間仕切りが特徴的で、部屋同士をつなげたり仕切ったり柔軟な空間の活用が可能です。
たとえば大人数であつまるときは仕切りをなくして部屋を広くすることができます。
親子で住んでいた際に子供が巣立ったら各部屋をリビングやダイニングにつなげることもできるでしょう。
メリット③:自然災害に強い
平屋は重心が低いことから2階建てに比べて、構造的に安定しています。また外壁の面積も狭く、強風を受ける面積も小さくて済みます。
このような構造の特徴から平屋は地震や強風などの自然災害に強い建物です。
日本はさまざまな災害に見舞われることが多いため、地震や強い、雪などに強い住宅を検討している場合は平屋が適しているでしょう。
新築平屋のデメリット
新築平屋のデメリットは以下の3つです。
- プライバシーを確保しづらい
- 防犯対策が必要
- 洪水や浸水に弱い
デメリット①:プライバシーを確保しづらい
新築平屋には、プライバシーと防犯への配慮が必要不可欠です。
平屋は外からの視線が気になりやすく、プライバシーの確保が難しい面があります。
隣家が2階建て以上の際には、見下ろされる可能性もあるでしょう。
塀で囲むのは一案ですが、開放感や採光を考慮した設計が求められます。
また同じ階に部屋が並ぶ平屋では家族間のプライバシーも確保しにくいため、廊下を設けるなどの対策が必要でしょう。
デメリット②:防犯対策が必要
平屋は2階建てに比べ、外部からの侵入を防ぎづらいというデメリットがあります。これは窓や玄関扉などの開口部が地面に近く、外部からのアクセスが容易なためです。
また屋根や壁の高さが低いため、外部から侵入しやすい構造といえます。防犯対策では二重鍵の設置や防犯ガラスの採用、センサーライトの設置などが効果的です。
さらに塀や生垣による外周部の防犯も検討してみましょう。
室内においても動線の確保や見通しの良さなど、防犯性の高い間取りを検討してください。
デメリット③:洪水や浸水に弱い
平屋は地面に近い位置に建築されるため、水害の影響を受けやすい構造になっています。
水害が発生すれば家財道具の損傷や住み続けることが困難になることもあるでしょう。そのため、平屋を新築する際は立地条件を慎重に検討し、水害リスクの高い場所を避けてください。
また建物の高さを少し高めに設計したり止水板を設置したりなど、水害対策も行ないましょう。
平屋を新築で建てる際の費用相場
平屋を新築で建てる際の費用相場を、本体工事費の坪単価から考えるとていきますと、たとえば木造住宅の平屋の場合、本体工事費の坪単価は60〜80万円程度です。
本体工事費の他に、付帯工事費やその他の諸費用がかかります。
本体工事費との価格のバランスについては、以下のように考えておくとよいでしょう。
- 本体工事費:約70%
- 付帯工事:約20%
- 諸費用:約10%
上記をもとにシミュレーションすると、以下のような数字が割り出せます。費用相場はだいたいこのようになります。
2階建てと比較
一般的に、同じ延床面積であれば2階建ての建物のほうが坪単価を低く抑えられます。
基礎工事や屋根の工事に費用がかかる傾向があり、同じ延床面積であれば平屋のほうが基礎や屋根の面積が広くなるからです。
ただし上記はあくまで一般論であり、「坪単価は平屋のほうが高い」と単純には決めつけられません。
具体的にどのような間取りやデザインにするのかといった住宅仕様や、住宅会社のスタンスによっても大きく変わるからです。
ローコスト住宅を建てるのであれば、平屋であっても坪単価を抑えることが可能ですし、逆にハイグレードな設備を整えるのであれば、価格はどこまでも上昇するでしょう。
どのような家を建てたいのか、というビジョンが最終的な費用を決定します。
平屋を新築で建てる際の土地代の目安
平屋を新築で建てる際に、土地代をどのような目安で捉えておけばよいのかをについて解説します。
ここでは広さを以下の3つのグループに分けました。
- 20坪以下
- 20坪~30坪
- 30坪~35坪
目安①:20坪以下
20坪以下の平屋に必要な土地代は、以下のような目安で考えておきましょう。
エリア |
予算の目安 |
東京 |
約830万円 |
大阪 |
約330万円 |
愛知 |
約230万円 |
福岡 |
約120万円 |
引用元:国土交通省|令和3年都道府県地価調査(15都道府県別・用途別平均価格)
20坪以下の平屋は、1人暮らしの方やシンプルな間取りで暮らしたいご夫婦に向いています。
1,000万円以下に抑えることは十分に可能なので、なるべくコストを抑えたい方は20坪を上限として設定してみましょう。
目安②:20坪~30坪
20〜30坪ほどの平屋に必要な土地代は、以下のような目安で考えておきましょう。
エリア |
予算の目安 |
東京 |
約830万~1,250万円 |
大阪 |
約330万~500万円 |
愛知 |
約230万~340万円 |
福岡 |
約120万~180万円 |
引用元:国土交通省|令和3年都道府県地価調査(15都道府県別・用途別平均価格)
20〜30坪あれば2LDKや3LDKの間取りを実現できるので、夫婦2人暮らしの方や子供が1人いる方におすすめです。
また庭を広く取りたい場合には、あえて1LDKに設計し、余裕を持った土地の使い方をするのもよいでしょう。
目安③:30坪~35坪
30~35坪ほどの平屋に必要な土地代は、以下のような目安で考えておきましょう。
エリア |
予算の目安 |
東京 |
約1,250万~1,460万円 |
大阪 |
約500万~580万円 |
愛知 |
約340万~370万円 |
福岡 |
約180万~220万円 |
引用元:国土交通省|令和3年都道府県地価調査(15都道府県別・用途別平均価格)
45〜60坪の土地があれば、3LDKや4LDKの間取りを取れるので、子供が2人以上いるファミリー層や3世帯で暮らしている家族におすすめです。
4LDKの平屋にかかる建築費用はだいたい1,560万〜2,730万円ほどなので、東京に土地を買ったとしてもうまく工夫すれば3,000万円程度に抑えることも可能となります。
3LDKや4LDKの平屋を検討される方や、子供が2人以上いるファミリー層や3世帯でゆったりとした間取りを考えている方は、土地は余裕を持った大きさで考える必要があります。
予算別の新築平屋の間取り例
ここでは予算別に、新築平屋の間取りとして典型的な例を挙げていきます。
間取り例①:1,700万円
1,700万円の新築平屋だと、よくある例として以下のような間取りが想定されます。
間取り |
2LDK |
世帯人数 |
4人 |
延床面積 |
20坪程度 |
2LDKの間取りを確保できるので、家族3人で暮らすことが可能です。
坪数の目安は、だいたい20坪からそれより少し上くらいになるでしょう。
間取り例②:2,000万円
2,000万円の新築平屋の間取り例としては、以下のようなものが提示できます。
間取り |
3LDK |
世帯人数 |
4~5人 |
延床面積 |
27〜28坪程度 |
建物に2,000万円の費用を出せるのであれば、3LDKで4人暮らしをすることも十分に可能です。
延床面積は28坪程度が妥当でしょう。
間取り例③:2,500万円
2,500万円の新築平屋の間取り例としては、以下のように広い選択肢が提示できます。
間取り |
2LDK~5LDK |
世帯人数 |
3~5人以上 |
延床面積 |
40坪程度 |
建物に3,000万円の費用を出せるのであれば、テラスを設けて開放感を演出し、平屋の課題の1つである「日光をきちんと取り込む」ことも容易に解決できます。
土間も広く取れるので、アウトドア用品やベビーカーなどを玄関付近に置いておくこともできるでしょう。
また、あえてシンプルな間取りにすることで、部屋数を多くして大人数で暮らすことも可能です。
新築平屋の費用を抑える4つの方法
平屋を新築で建てる際に費用を抑える方法としては、以下の4つが挙げられます。
- 間取りを工夫する
- コストダウンを意識する
- シンプルな外観にする
- 余計な建具は減らす
方法①:間取りを工夫する
コスト削減を重視するのであれば、間取りを考える際に壁の仕切りを最小限にしましょう。
たとえば寝室などの個室は一般的に壁で仕切る設計になっていますが、オープンな空間にすることでリビングを広く使えるようになります。
また在宅ワークなど、限られた時間内だけ個室のように空間を使いたい場合は、壁を作るのではなく取り外し可能なパーティションの設置などで解決することをおすすめします。
方法②:コストダウンを意識する
ユニットバスやシステムキッチンといった設備のグレードを見直すことは、着実なコストダウンにつながります。
住宅設備メーカーはハイグレードなものをショールームに並べており、見ているとつい奮発したくなります。
しかし本当に必要なものなのか、一度立ち止まって慎重に検討することが大切です。
また外装や内装の仕上げ素材についても、コストダウンを図る余地があります。
1平米あたりの単価で考えているうちはそれほど違いを感じませんが、使う面積が大きくなるほど差が出てくるので、許容できる範囲で安価なものを選んでおくのがおすすめです。
方法③:シンプルな外観にする
平屋を新築する場合、外観はできるだけシンプルにすることをおすすめします。
コストを抑えられるだけでなく、洗練された印象を与えることにもつながるからです。
凹凸の多い形状は、外壁の面積が増えるうえに屋根も複雑になるため、材料費や施工費が割高になります。
シンプルさを意識することで、かかる費用はまったく変わってくるので慎重に考えましょう。
シンプルな平屋のメリットやデメリットは以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
【関連記事】シンプルな平屋のメリット・デメリット、注意点をわかりやすく解説
方法④:余計な建具は減らす
室内の建具はできるだけ減らすことを心がけましょう。
たとえば以下のようなものは、本当に必要なのか入念に検討する余地があります。
- 洗面所と脱衣所のあいだの仕切りカーテン
- キッチンとパントリーを仕切るロールスクリーン
- 子供部屋の収納にオープンタイプを採用する
「あったらオシャレかもしれないな」くらいの気持ちでさまざまな建具を希望すると、積もり積もってかなりの金額になってしまいます。
常にコストのことを考え、必要か不必要かシビアに考える視点をもっておきましょう。
新築平屋を建てる際の4つの注意点
新築の平屋を建てる際の注意点としては、以下の4つが挙げられます。
- 建ぺい率を考慮する
- 日当たりと風通しのことも考慮する
- 防犯対策をする
- 住宅会社で費用が異なる
注意点①:建ぺい率を考慮する
平屋の新築を建てる際には、建ぺい率をしっかりと確認しておきましょう。
建ぺい率とはざっくりいうと「その土地にどれくらいの大きさの建物を建てられるか」という決まりのことです。
つまり、狭い土地に大きな家を建てるには限度があることになります。
平屋は1階建てなので、延床面積が土地の広さに制約される面が強くあります。
所有する土地にどのくらいの平屋が建てられるのか、正確に把握しておくことが重要です。
注意点②:日当たりと風通しのことも考慮する
平屋は周囲の環境によっては、日当たりや換気をしっかり考える必要があります。
たとえば背の高い建物に囲まれていると、どうしても太陽の光が室内に入ってくる割合が低くなってしまいます。
できるだけすべての部屋にしっかりと光を取り込めるよう、工夫しなければいけません。
日光を取り込んだり風通しをよくしたりするのに効果的なのは、天窓をつけることです。
コスト面との両立を考えながら、ぜひ検討してみましょう。
注意点③:防犯対策をする
平屋は1階建てであるため、悪くいえばどこからでも侵入できてしまいます。
そのため防犯対策はしっかり強化しておかなければいけません。
たとえば踏むと音の出やすい砂利を床に庭に敷き詰めておく、死角になる窓には格子をつけるといった工夫が考えられます。
あえて塀を低くして、近隣住民や通行人が庭を目視しやすいようにしておくのも対策の1つです。
注意点④:住宅会社で費用が異なる
一般的に平屋の新築は2階建てと比べて費用がかかるといわれていますが、あくまでも一般論にすぎません。
新築の平屋を建てる費用は、住宅会社によって大きく異なります。
大切なのは、複数の住宅会社に見積もりをとり、どこにお願いするのが費用面と内容面でもっともバランスがとれているかを慎重に見極めることです。
その際に何かわからないことがあったら、遠慮なく住宅会社に質問してみましょう。
アットホームラボでは、モデルハウスの内覧も可能です。
各モデルハウスの来場予約からお申し込み頂き、ぜひご来場ください。
平屋新築のおしゃれな施工事例
平屋の施工事例として、このようなケースがあります。
土地に余裕のあるこの場所ならではの家にしたいと、ゆとりある平屋の住まいをご提案。
小さな子どもたちが駆け回ることができる行き止まりのない回遊動線は、家事のストレスも軽減してくれます。
キッチン裏に洗面脱衣室を配置し、ランドリールーム、ファミリークローゼットを一直線にすることで、お料理の合間に洗濯をしたり片付けたりでき、家事の時短に繋がっているそうです。
「どこにいても家族の気配を感じられる」と、平屋のメリットを実感されているとのことです。
無垢フローリングに漆喰壁と、自然素材をたっぷり使った内装に仕上がり、デザイン性の高いこだわりの一邸となっております。
まとめ:平屋の新築について
平屋を新築する際は、費用相場を確認しておき、予算に応じて検討する必要があります。
住む人数や予算などに応じて考えていきましょう。
平屋はコンパクトな造りで災害に強かったり間取りの自由さがあったりします。
一方で防犯対策が必要な点や2階建てに比べると坪単価が高い点などには注意が必要です。
建築会社や不動産会社と密に相談して、希望に合う新築平屋を建築しましょう。
アットホームラボでは、新築やリフォームを取り扱っておりますので、気になる方はぜひ無料相談会にお越しください。
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この記事の監修 アットホームラボ代表 青木真大(あおきまさひろ)
二級建築士、二級建築施工管理技士
2006年建築デザイン学部を卒業後、東京と新潟の建築事務所にてデザイン実務を経て、株式会社アオキ住建へ入社。 建築業界で15年間の設計、現場監督経験を経て、住宅事業部の責任者として1,500件以上の新築及び大規模リノベーションに関わる。
新築だけでなくリフォームも承っておりますので、気になる方は是非無料相談会にご参加ください!
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