リノベーションの際に確認すべき耐震性とは?耐震補強の費用相場も解説
リノベーションを検討するうえで、耐震性が気になる方もいるのではないでしょうか。
日本は地震大国ともいわれており、耐震性能は慎重に検討する必要があります。
耐震性の基準は建築時期によって異なるため、リノベーションする住宅の築年数を確認しておくことが大切です。
この記事では、リノベーションの際に確認すべき耐震性の基準を解説します。
耐震補強する際の費用相場も紹介するので、長く暮らせる家づくりを実現したい方は参考にしてください。
リノベーションを行う際に確認するべき耐震性の基準
リノベーション時に確認するべき耐震性の基準は、以下の3つです。
- 旧耐震基準
- 新耐震基準
- 現行耐震基準
耐震基準は建築時期によって異なるため、それぞれ見ていきましょう。
旧耐震基準
旧耐震基準は、1981年5月31日まで適用されていた構造基準です。
震度5強程度の揺れに耐えられる構造基準を設定しているのが、旧耐震基準の特徴になります。
しかし、日本では震度7の大地震が発生しているのが現状です。
2024年に発生した能登半島地震における各耐震基準の木造建築物の倒壊率は、以下の通りです。
耐震基準 |
木造建築物の倒壊率 |
旧耐震基準 |
19.4% |
新耐震基準 |
5.4% |
現行耐震基準 |
0.7% |
新耐震基準や現行耐震基準に比べて、旧耐震基準の倒壊率は高い傾向にあります。
そのため、1981年5月31日以前に建築された建物をリノベーションする際は、耐震改修や建て替えを検討しましょう。
引用元:
新耐震基準
新耐震基準は、1981年6月1日から2000年5月31日まで適用されていた構造基準です。
震度6強〜7程度の揺れに耐えられる構造基準を設定しているのが、新耐震基準の特徴になります。
1978年に発生した宮城沖地震をきっかけに、人命確保を目的として耐震基準が見直されました。
新耐震基準では大地震でも建物が耐えられるよう、一次設計と二次設計の二段チェックを行っています。
各設計の違いは、以下の通りです。
設計 |
検証内容 |
一次設計 |
中規模の地震で損傷しないか検証 |
二次設計 |
台規模の地震で倒壊・崩壊しないか検証 |
旧耐震基準では一次設計のみでしたが、新耐震基準から新たに二次設計の検証が追加されたのです。
現行耐震基準
現行耐震基準とは、2000年6月1日から適用されている構造基準のことです。
1995年に発生した阪神淡路大震災をきっかけに、「建築基準法施行令」が改正されました。
現行耐震基準では耐震性の向上を目的に、以下の基準を見直しています。
- 地盤に応じた基礎設計
- 基礎と柱の結合部に金具の取り付け指定
- 耐力壁の配置バランス
また、現行耐震基準では地盤調査も義務になっています。
新耐震基準と現行耐震基準では、基準に違いがある点も押さえておきましょう。
耐震等級とは
耐震等級とは、耐震性を表す指標で3つに分類されています。
各等級ランクの違いは、以下の通りです。
等級 |
性能 |
等級3 |
等級1の1.5倍の強さがある |
等級2 |
等級1の1.25倍の強さがある |
等級1 |
建築基準法レベルの耐震性能を満たす |
2014年に発生した熊本地震においても、耐震等級3の住宅は16棟中14棟が無被害であったことがわかっています。
したがって、リノベーションする際は、耐震等級3相当の強度となるよう耐震補強工事も検討しましょう。
なお、当社アットホームラボでは耐震性や気密性にこだわった家づくりを提供しています。
各モデルハウスの来場予約も受け付けていますので、自分スタイルの家に出会いたい方はお申込みください。
引用元:国土交通省|「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント
リノベーションを行う際に耐震補強が必要な住宅の特徴
リノベーションを行う際に耐震補強が必要な住宅の特徴は、以下の通りです。
- 1981年5月31日以前に建てた住宅
- 1階の壁面積が少ない住宅
- 雨漏りやシロアリ被害の経験がある住宅
1981年5月31日以前に建てられた住宅は、旧耐震性となるため震度5強ほどの耐震性となります。
実際に1981年以降に発生した大地震でも倒壊率が高いことがわかっており、万が一に備えた対策が必要です。
また、1階に車庫や大きな窓が付いているといった壁が少ない住宅は、耐震性が低い傾向にあります。
リノベーションを検討するにあたって、耐震診断で耐震性能を確認するのがおすすめです。
当社アットホームラボでは、家づくりに関する無料相談会を実施しています。
リノベーションを検討するうえで、耐震補強について詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。
戸建て住宅のリノベーション時に耐震補強する場合の費用相場
木造住宅の耐震改修工事の費用相場は100万円〜150万円ほどで、補強部分や築年数、劣化の状態によっても異なります。
耐震改修工事の内訳は、以下の5つです。
- 耐震診断
- 基礎部分
- 壁
- 柱
- 屋根
費用目安として、参考にしてください。
費用①:耐震診断
耐震診断の費用は住宅の規模や状況によって異なりますが、木造住宅の場合、10万円〜50万円ほどが相場です。
木造住宅に対して実施される耐震診断方法は、以下の3種類になります。
- 簡易診断法
- 一般診断法
- 精密診断法
診断方法で費用が異なるため、適切な診断を選ぶのがポイントです。
なお、自治体によっては、無料で実施してくれたり補助金制度を活用できたりする場合もあります。
そのため、耐震診断を行う際は居住地の自治体で、補助金制度を利用できるか確認しましょう。
費用②:基礎部分
基礎部分を耐震補強する場合の費用は、基礎工事の方法によって異なりますが、増し打ち補強は4万円〜5.5万円/mが相場です。
増し打ち補強とは、ひび割れや欠損などにより劣化した基礎部分を除去・補修し、コンクリートを増し打ちして断面修復します。
また、基礎部分の耐震補強には増し打ちのほか、ひび割れ補修や炭素繊維シートまたはマトリックス樹脂を使った補強工事などがあります。
基礎部分の強度は重要になるため、リノベーションをする際、慎重に検討することが重要です。
なお、プレウォール工法のメリットやデメリットを知りたい方は、以下の記事をあわせて参考にしてください。
【関連記事】プレウォール工法とは?メリット・デメリット、施工事例を紹介
費用③:壁
外壁と内壁で、費用相場が異なります。
耐震補強する際の費用相場は、以下の通りです。
壁 |
費用相場 |
外壁 |
13万円~15万円/幅910m |
内壁 |
9万円~12万円/幅910m |
内壁は押入れ内から補強すると工事がしやすいため、外壁に比べて工事単価が低いケースといえます。
大きな窓がある住宅は家を支える面積が少なくなり、地震により倒壊する可能性が考えられます。
耐力壁を取り入れると耐震性能が高まるため、リノベーションの際に検討してみましょう。
費用④:柱
柱の劣化状況にも異なりますが、接続金属で補強する場合は1箇所5万円〜20万円ほどが費用相場です。
ただし、柱は老朽化しやすい部分のため、状態によっては大掛かりな工事になってしまい、費用がかさむ可能性もあります。
また、柱の耐震補強をする際は壁や床を解体する必要があり、工期が長くなってしまいやすい点に注意が必要です。
耐震性能を高めたい場合は、柱の追加や交換を検討してみるとよいでしょう。
費用⑤:屋根
屋根は、葺き材(ふきざい)によって費用が異なります。
費用相場は、以下の通りです。
葺き材の種類 |
費用相場 |
鋼板などへの葺き替え |
1.8万円/㎡ |
ストレートなどへの葺き替え |
1.5万円/㎡ |
屋根を軽量化すると地震による揺れが軽減されるため、被害の発生を抑えやすい点がメリットです。
そのため、瓦屋根より軽量な金属屋根のガルバリウム鋼板に変える方が耐震性能を強化できます。
とはいえ、築年数が古かったり耐震補強を施していなかったりすることも倒壊リスクを高める原因になります。
瓦屋根だからといって、必ずしも地震の被害が大きいわけではない点に注意が必要です。
アットホームラボでは断熱・耐震性に優れた住宅を実現可能
アメリカのサーファーズハウスをコンセプトにしたこちらの間取りは、古材やアイアンなどの建材を使用しているのが特徴です。
部屋の至る所にヴィンテージ感をちりばめており、サーフボードがインテリアとしても馴染んでいます。
また、洗面室はモルタル調のクロスと大判のタイルを使用し、アメリカのホテルを彷彿とさせるおしゃれなデザインになっている点が魅力です。
当社アットホームラボでは、リフォーム選任スタッフやコーディネーターなど専門家が在籍しており、ワンストップでリノベーションをサポートしています。
耐震性や断熱性など、性能にもこだわった施工品質の住宅を提供しており、納得いくマイホームを実現可能です。
ご自宅や中古住宅をおしゃれにリノベーションしたい方は、定額リノベーションページをご覧ください。
また、定額制リノベーションのメリットとデメリットを知りたい方は、以下の記事をあわせてチェックしてみましょう。
【関連記事】定額制リノベーションとは?メリット・デメリットや自由設計型との違いも
まとめ:リノベーションの際は耐震補強を慎重に検討しよう
リノベーションを検討する際は、耐震補強を考慮のうえ計画を進めていくことが大切です。
築年数によっては耐震性能が不安視される場合もあるため、耐震診断を実施し、必要な部分の補強も兼ねてリノベーションしましょう。
当社アットホームラボでは、性能・構造にこだわった家づくりをサポートしています。
自然素材・性能・デザインの3つの要素を大切にした住宅を提供しているため、リノベーションに関するお悩みをお持ちの方は、ぜひお問い合わせください。
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この記事の監修 アットホームラボ代表 青木真大(あおきまさひろ)
二級建築士、二級建築施工管理技士
2006年建築デザイン学部を卒業後、東京と新潟の建築事務所にてデザイン実務を経て、株式会社アオキ住建へ入社。 建築業界で15年間の設計、現場監督経験を経て、住宅事業部の責任者として1,500件以上の新築及び大規模リノベーションに関わる。
新築だけでなくリフォームも承っておりますので、気になる方は是非無料相談会にご参加ください!
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