”5分”でわかる!平屋の勾配天井のメリット・デメリット
勾配天井にすることで、室内に高さが増してより開放的かつおしゃれな空間に仕上がります。
注文住宅で平屋を建てようと考える中、勾配天井に憧れているので取り入れてみたいと感じた方も多いのではないでしょうか。
しかし、平屋において勾配天井はメリットと同時にデメリットも潜んでいるため注意が必要です。
今回は平屋で勾配天井にすることのメリット・デメリットに加え、勾配天井で失敗しないために押さえておくべきポイントも解説します。
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勾配天井とは
勾配天井とは、傾斜のある天井のことをいいます。
屋根裏を設けず、屋根の形状や勾配をそのまま生かした天井です。
本来であれば屋根裏となる部分が部屋の高さとして加わるため、通常のフラットな天井よりも開放的な空間に仕上げることができます。
一般的な戸建て住宅の場合はフラットな天井で2.2m~2.4m程度の高さが標準と言われていますが、勾配天井にすれば最高4m以上の高さを確保することも可能です。
勾配天井が取り入れられることの多いケースとしては、平屋の天井や2階リビングの天井、吹き抜けの空間などが挙げられます。
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平屋の勾配天井のメリット
平屋に勾配天井を取り入れることで、以下のメリットを得られます。
メリット①:開放感がある
平屋は居住スペースが窮屈になりがちで、限られた敷地の中でいかに快適な空間を作り上げられるかが重要です。
勾配天井にすることで室内に高さが生まれるため圧迫感が解消されるだけでなく、目線が上部へと抜けるため開放感を得ることができます。
視覚的な開放感だけでなく、本来は屋根裏となるスペースにロフトを設けて生活空間として有効活用できるという実用的なメリットもあります。
さらに勾配天井に梁を渡したりファンを設置したりすれば、空間の機能性・デザイン性も向上するためより満足度の高い家が完成することでしょう。
メリット②:光を取り込みやすい
採光性を向上させる手段として天窓の設置は有効的ですが、勾配天井の場合は天窓だけでなく「高窓」の設置も可能になります。
高窓とはハイサイドライトとも呼ばれており、天井面に近い壁面に取り付ける窓のことです。
近隣に他の建物が立ち並ぶ土地に平屋を建てる場合、設計を誤って日当たりが悪くなってしまったというケースも珍しくありません。
高窓を設置すれば自然光をたっぷりと取り込めるため、周囲の環境にかかわらず明るい室内で生活することができます。
もちろん平らな天井の家でも高窓の設置は不可能ではありません。
しかし勾配天井の方が窓の開口面積を広くとりやすいことに加え、天井に沿って光が降り注ぐため室内の明るさが増します。
室内が明るくなれば日中は照明をつけなくても快適に過ごせるため、電気代の節約にもつながります。
メリット③:通気性が良い
平屋のデメリットとして、部屋数を増やすほど中心部の通気性が悪くなることが挙げられます。
しかし、勾配天井にすれば高窓の設置が可能となるため空気が循環しやすくなります。
高窓と腰窓の組み合わせにより暖かい空気は高窓から外へ、新鮮な空気は腰窓から室内へといったように空気の流れが自然と出来上がるという訳です。
ただし間取りや風向きによって取り付けるべき窓の位置は異なるため、プランニングの時点で設計士とよく相談しながら位置を検討しましょう。
平屋の勾配天井のデメリット
デザイン性や機能性という側面から様々なメリットを得られる勾配天井ですが、以下のようなデメリットが潜んでいるため注意しましょう。
デメリット①:費用がかかる
勾配天井は平らな天井に比べ、下地を組む際の施工費や材料費などの費用が割高になる可能性があります。
デザイン性にこだわって無垢材の板で仕上げた場合、なおのこと材料費は高くなります。
さらに勾配天井は壁や天井の面積が増加するため、内装工事における費用もかさみがちです。
採光性・通気性を向上させるために窓を取り付けるのであれば、取り付け費用に加えてカーテン代やファンの取り付け費用などが必要となり、コストが大幅に上がってしまいます。
勾配天井にしたいけれどコストが心配…という方は、事前に設計士と相談しながら間取りに応じて家の一部のみ勾配を付けたり、コストパフォーマンスが高い素材を選んだりしてコストを抑える工夫をしましょう。
デメリット②:メンテナンスしにくい
勾配天井で室内高が高くなったことによる開放感は魅力的ですが、そのぶん天井や天井近くのメンテナンスがしにくいというデメリットがあります。
天井の高い部分に設置している照明器具の場合、掃除や取り換えをするとなれば脚立やハシゴを用意しなければ手が届きません。
器具そのものが故障すれば、わざわざ足場を組み立てることになる可能性もあります。
足場の組み立てには家具・家電を移動してスペースを確保する手間や設置費用がかかるため、通常よりもメンテナンスに対するハードルは上がることでしょう。
デメリット③:光熱費が高くなる可能性がある
勾配天井にすると暖かい空気が高い部分に集まるため、暑い時期は室内における快適性の向上に期待ができます。
ただし、勾配天井は通常よりも冷暖房が効きにくい傾向にあります。
特に冬場は暖かい空気が高さのある天井付近へ逃げてしまうため、暖房をつけても部屋の温度が上がらず、結果的に光熱費が上がってしまいがちです。
平屋の勾配天井で後悔しないためのポイント
平屋に勾配天井を取り入れた結果、快適性が損なわれ住みにくい家が完成してしまった…とならないように押さえておくべきポイントを解説します。
ポイント①:通気性対策でシーリングファンを設置する
勾配天井を取り入れた室内は冷暖房の空気が循環しにくく、光熱費が高くなる傾向にあります。
そのため、シーリングファンを設置して空気を対流させて室内の温度を均一に保ちましょう。
近年はデザイン性の高い製品が多く出回っているため、おしゃれなインテリアとしても一役買ってくれます。
ポイント②:断熱性の高い設計をする
勾配天井ではどうしても使用できる断熱材の厚みが制限されるため通常の天井よりも断熱性が劣りがちです。
対策としては可能な限り断熱性の高い建材を使用し、家全体の断熱性を向上させることが大切です。
断熱材の種類として代表的なものは無機繊維系・木質繊維系・発泡プラスチック系・天然素材系など様々ですが、特にウレタンや羊毛などを用いた断熱材は高い性能を備えています。
ただし、勾配天井は工事の難易度が上がるためそのぶん施工費も高くなりがちです。
高い性能の断熱材を選べばさらにコストがかかる可能性も考えられるため、全体のバランスを考慮しながら検討していきましょう。
ポイント③:照明の光が部屋全体に届くか確認する
勾配天井の家づくりをするにあたって多くの方を悩ませるポイントが、照明選びです。
天井が高くなるぶん、室内全体に光が当たるような照明選びと設置場所を考える必要があります。
電球そのものだけでなく、照明の形状によっても光の届き方が異なるためあらかじめ調べておくと良いでしょう。
勾配天井に用いられることが多い照明は、シーリングファンライト・ダウンライト・シーリングライト・ペンダントライトなどがあります。
また、スタイリッシュなインテリアに仕上げたい場合はスポットライトを取り入れることも可能です。
ただしスポットライトは光が届く範囲に限りがあるため、入念な照明計画が重要となります。
まとめ
室内が窮屈になりがちな平屋ですが、勾配天井を取り入れることで開放的な空間に仕上がります。
デザイン性や機能性の向上にも期待できる一方で、メンテナンスの難しさや冷暖房の効率といったデメリットもあります。
今回ご紹介したポイントを押さえながら、勾配天井の良さが十分に発揮される家づくりを成功させましょう。
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この記事の監修
アットホームラボ代表 青木真大(あおきまさひろ)
二級建築士、二級建築施工管理技士
2006年建築デザイン学部を卒業後、東京と新潟の建築事務所にてデザイン実務を経て、株式会社アオキ住建へ入社。 建築業界で15年間の設計、現場監督経験を経て、住宅事業部の責任者として1,500件以上の新築及び大規模リノベーションに関わる。
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