平屋とは?メリット・デメリット、施工事例を紹介します
近年、「平屋」という住宅の建て方が注目されています。
世代を問わず少しずつ浸透しており、自分の家を持ちたい方にとっての有力な選択肢の1つといっても過言ではありません。
この記事では、平屋とは何かという基本的な解説に始まり、メリット・デメリット、施工事例なども紹介します。
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平屋とは
平屋とは、シンプルに表現すると「1階建ての建物」です。
昔ながらの日本家屋をイメージする方もいるかもしれませんが、最近ではさまざまなデザイン・間取りの平屋が作られており、多くの支持を集めています。
2階建て以上の建物と比べて単純な構造であるため、以下のような特徴を備えています。
- 耐震性能が高い
- 垂直方向を考える必要がない
平屋の特徴はメリットにもデメリットにもなる要素なので、新居として検討する際には、自分や家族がどのように生活するのか、よくイメージしておく必要があるでしょう。
平屋のメリット7つ
平屋のメリットとしては、以下の7つが挙げられます。
- 効率のよい動線を作りやすい
- メンテナンスコストを抑えやすい
- 家族とのコミュニケーションを取りやすい
- バリアフリーにしやすい
- 自由度が高い
- 地震や台風に強い
- 光熱費を抑えやすい
メリット①:効率のよい動線を作りやすい
平屋は1階建てなので、平行移動だけで生活することになります。
垂直の動きを考える必要がないので動線を作りやすいのはメリットです。
たとえば掃除・洗濯・片付けといった家事全般について、階段の上り下りが必要なくなるので効率的に済ませられます。
水回りや部屋同士の距離を近づける間取りにすれば、生活すべてにおいて移動コストを小さくできるでしょう。
メリット②:メンテナンスコストを抑えやすい
建物は購入したあとにもお金がかかります。
年月とともに老朽化する箇所も出てきて、さまざまなメンテナンスが必要になるからです。
しかし平屋であれば、たとえば外壁塗装や屋根の修理において、大掛かりな足場を組むことなく作業できます。
キッチンや浴室などにつながる排水管をメンテナンスする際も、2階建ての家であれば1階の天井と2階の床の点検や修繕が必要ですが、平屋であればシンプルな作業で済ませられます。
メンテナンスの規模を小さくできるので、2階建て以上の建物と比べてコストを低く抑えられるのが魅力です。
メリット③:家族とのコミュニケーションをとりやすい
1階建てである平屋は、家族と顔をあわせる機会が必然的に増えるので、コミュニケーションをとりやすいのもメリットであるといえるでしょう。
2階建ての場合、玄関の近くに階段があると、子供が学校から帰ったあとすぐ2階の個室に直行してしまいます。
そのあと夕食以外ずっと個室にこもっているとなると、子供が何をやっているのか具体的なことがまったくわかりません。
平屋の場合はワンフロアなので、自然に顔をあわせられ、何気ない会話が増えます。
ちょっとしたやり取りの積み重ねが、家族間の信頼関係などによい影響を与えることでしょう。
メリット④:バリアフリーにしやすい
平屋には階段がないので、バリアフリーの家を実現しやすいのもメリットです。
体の不自由な方にとって、階段の上り下りは危険で億劫なものなので、できればないに越したことはありません。
しかし2階建ての家には階段が必須であり、バリアフリーを実現しようと思うと設備投資する必要が生まれます。
平屋であれば、そもそも1階建てであるため階段について考える必要がありません。
転倒や躓いたりするのを防ぎやすくなり、より安全に生活できるようになります。
メリット⑤:自由度が高い
平屋はシンプルな構造であるため、自由度が高いのも魅力の1つといえます。
ロの字型やコの字型、L字型などさまざまなタイプから好きな間取りを選べますし、屋根の形も選択肢が多く、天井を高く確保したり、ロフトを設けたりといった選択も可能です。
最近では、具体的なデザインコンセプトにもとづいて設計されたデザイン住宅も人気となっています。
メリット⑥:地震や台風に強い
木造や鉄骨造にかかわらず、平屋は基本的に2階建て以上の建物と比べて耐震性が高いのも特徴の1つとなります。
壁にかかる負荷が小さく、安定しやすい構造となるのがその理由です。
また建物に高さがないため下から吹き上げる風にも強く、大きな台風が接近してきたときにも比較的安心できます。
ちなみに、壁に固定することができる造作家具は耐震性に優れているので、より耐震性の強い家にすることも可能です。
【関連記事】造作家具とは?メリット・デメリットや価格相場を徹底解説
メリット⑦:光熱費を抑えやすい
平屋がワンフロアで生活するため、2階建て以上の住宅と比べて冷暖房費などの光熱費を低く抑えられます。
必要最低限の空間を冷やしたり暖めたりするだけで、快適な生活を保てるイメージです。
また最近では平屋の大きな屋根を活かして、太陽光発電を採り入れている方も増えてきています。
太陽光発電によって電気代が抑えられるだけでなく、万が一停電した場合にも電気を使える可能性があるといった安心感も得られます。
平屋のデメリット6つ
平屋のデメリットとしては、以下の6つが挙げられます。
- ある程度の土地の広さが必要
- 日当たりの悪い空間ができやすい
- 防犯面での注意が必要
- 建物の坪単価が高くなりやすい
- 固定資産税が高くなりやすい
- 水害に注意が必要
デメリット①:ある程度の土地の広さが必要
平屋は1階建てであるため、同じ床面積の家を建てるのであれば、2階建ての場合よりも広い土地が必要になります。
建築基準法によって、敷地に対してどのくらいの広さの家を建ててよいかが定められているので、狭い土地に強引に大きな家を建てることはできません。
したがって居住する家族の人数が多い場合には、平屋で広々とした生活を実現するのに土地代というコストがかかることになります。
デメリット②:日当たりの悪い空間ができやすい
平屋は背の低い建物であるため、周囲の環境によっては日差しが家の中まで届きにくくなる可能性があります。
隣に2階建てや3階建ての家が建った途端に日当たりが悪くなってしまう、というのはよくある話です。
とくに建物中央の部屋は、太陽の光を取り込むのに工夫が必要となるでしょう。対策としては、中庭を作るといったことが挙げられます。
デメリット③:防犯面での注意が必要
平屋は1階しかないので、基本的にどこからでも侵入できる状態にあります。防犯については注意する必要があるでしょう。
たとえば家の周囲に踏むと音の出る砂利を敷いたり、人感センサーのついたライトを設置したりといった対策が考えられます。
また不審者は通行人や近隣住民の目を気にするので、家の周りを高い塀で囲まず、敷地内の様子を見えやすくしておくのも1つの手段です。
デメリット④:建物の坪単価が高くなりやすい
同じ延床面積の平屋と2階建ての建物と比べた場合、平屋の方が建物の坪単価が高くなる傾向にあります。
同じ延床面積であれば平屋のほうが基礎の面積が2倍になるため、工事費が上昇しやすいからです。
平屋と2階建てを比べたとき、基礎工事と屋根工事は平屋のほうが高くなり、2階にトイレや洗面台などを設置することでは2階建てのほうが高くなります。
総合的にみると、坪単価では平屋のほうが高くなるケースが多いといわれています。
デメリット⑤:固定資産税が高くなりやすい
一般的に平屋は、部屋や壁などにたくさんの資材を使うため資産価値が高いと評価され、固定資産税が高くなる傾向にあります。
また延床面積が同じであれば2階建てより平屋の方が広い土地が必要なため、単純に税額が高くなります。
固定資産税を安くするには、木造で建てることや、できるだけシンプルな間取りにして低コストであるという印象を調査員に与えるなどの手段がおすすめです。
デメリット⑥:水害に注意が必要
1階建てである平屋は、水害時に浸水の被害に遭う可能性が高いことが想定されます。
浸水したときに避難できる2階が存在しないため、土地選びの段階から注意する必要があります。
自治体がハザードマップを公表しているので、浸水想定区域ではないか事前に確認しておきましょう。
平屋のほうが費用は高い?
平屋の方が基礎工事と屋根工事の面積が広くなりやすいので、建築費は同じ規模の2階建てと比べてやや割高になるといわれています。
しかし必ずしも平屋のほうが高くなるとは限りません。
施工を担当する工務店やハウスメーカーによっても価格に違いがあるので、見積もりを出してもらってきちんと比較することが大切です。
費用について詳しく知りたい方は、お問い合わせページからご連絡ください。
平屋の施工事例
平屋の施工事例の1つを紹介します。
繁華街にある老舗のバーをモデルにするというコンセプト。
空気感までしっかり表現しきるために、ご主人の要望で担当していたスタッフ全員でお店に同行し、徹底的に再現性を高めました。
大人の雰囲気が漂うリビングで、ご夫婦がグラスを傾ける姿は、見ている者の気持ちさえも落ち着かせてくれます。
まとめ
平屋についての特徴やメリット・デメリット、施工事例などについて解説しました。
全体として平屋は、デザイン面や機能面の自由やコンパクトゆえの過ごしやすさが強みである反面、建設時のコストや防犯などがネックとなります。
平屋を選択すべきかどうかは、住まいに何を求めるかという各人の優先順位次第であるといえるでしょう。
平屋に住んでみたいとお考えの方は、この記事を判断材料として、具体的にイメージを深めてみてください。
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この記事の監修
アットホームラボ代表 青木真大(あおきまさひろ)
二級建築士、二級建築施工管理技士
2006年建築デザイン学部を卒業後、東京と新潟の建築事務所にてデザイン実務を経て、株式会社アオキ住建へ入社。 建築業界で15年間の設計、現場監督経験を経て、住宅事業部の責任者として1,500件以上の新築及び大規模リノベーションに関わる。
新築だけでなくリフォームも承っておりますので、気になる方は是非無料相談会にご参加ください!
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